フレンチバルGOE オーナーシェフ
さくら市卯の里2-24-1
電話:028-348-2443
月・火・水・木曜15:00~23:00(L.O./22:00)
金・土曜15:00~24:00(L.O./23:00)
日曜定休
https://www.facebook.com/frenchbarGOE/
2005年に塩谷郡氏家町と喜連川町が合併したさくら市。栃木県の中部に位置しているため、県内はもちろん都内へのアクセスもよく、ベッドタウンとしても注目されている街です。今回は氏家駅前に店を構える「フレンチバルGOE」のオーナーシェフ・五江渕さんのもとへ。旧喜連川町出身である五江渕さんの街への思いをお聞きしました。
目指したのは「みんなが集まれる場所」
「将来、自分の店をもちたい」そんな夢をもったのは僕が中学生の頃。人と接することが好きだったし、共働きの両親に代わって食事を作っていたこともあり、いつかこの思いを叶えられたらと思っていました。
のどかな地域で生まれ育った僕は、フランス語や調理の授業が選択できる、さくら市の高校に進学しました。その後、調理師専門学校を卒業し、フランスに留学。「美食の街」と呼ばれるリヨンの2つ星レストランで研修して、帰国後、都内のフランス料理店で10年間修業。2012年に地元に戻ってきました。
県内でもさまざまな業態のレストランやバルで修業しましたが、自分の店は、地元さくら市に出したいと思うようになってきました。大人になってそれぞれの生活があっても、みんなが集まれる場所がこの街にあればいいなって。
僕の友人は、就職して地元に残る人が多かったんです。また、出た友人も何かしら帰省したときに、ここに店があれば顔を見ることができるし「昨日は誰々が来たよ」「今は何してるの」とか、直接会えなくても情報交換ができる。そこから「じゃあ、今度来たら呼んでよ」「ここで集まろうよ」って、一度は途切れてしまったつながりが、また結ばれる。僕の店がここにある限り、絶対再会できますからね。
実際に僕の中学校の担任の先生も、知らずにやってきたことがあって「GOE…。あ、そっか!お前、五江渕か!」なんてこともありましたよ(笑)。
つながれて実現した夢だからこそそのつながりを大切にしたい
もちろん、旧友とのつながりだけをメインにした店づくりはしていません。フレンチは一般的に、かしこまる感じというか特別感のあるイメージをもたれてしまうジャンルです。フレンチに魅了された料理人の一人である僕としては、見た目にも美しく繊細な味わいをもつこの魅力を、もっと身近にもっと気軽に楽しんでもらいたいと、カジュアルなバルスタイルで提供してみようと考えました。この街で一人でも家族とでも行きやすい、多くの人に親しまれる“フレンチバル”という店を。
それまでこういったタイプの店は、さくら市にはなかったかもしれません。でも、ないからやらないのではなく、ないからこそ、やってみる。この街なら、その価値は十分にあると感じたんです。
挑戦とも、無謀とも言える僕のこの思いを応援し、かたちにしてくれたのは、以前からお付き合いのあった建築家さんや古道具屋さん、家族や昔からの仲間たち、そして業者さんや生産者のみなさんです。何かあればすぐに誰かを紹介してくれて、つながりが広くなる。店のロゴを書いてくれた書道家やイチゴ農家は友人だし、地元の蔵元「せんきん」さんとのお付き合いのきっかけは、僕の先輩で駅の東口で店を営む「NIWA」のオーナーシェフの小林さんからのご紹介。義理の両親は那珂川町で農家をしていているので、新鮮な野菜もいただけます。
酒屋さんや農家さん、乾物屋さん、精肉屋さんなど地元のみなさんのおかげで、いい食材が手に入り、毎日僕は料理をすることができます。人とのつながりがあって実現できた店だから、僕はそのつながりをこれからもずっと大切にしていきたいと思うんです。
この街は、これからの街
今は実家で両親と祖母、妻、娘の6人暮らし。まだ小さい娘を保育園に送るのは僕の役目なんですが、その保育園の隣が、僕が通っていた幼稚園で、ときどき園歌が聞こえるんですよ。それがまた懐かしくて…。やっぱり、戻ってきてよかった、地元っていいなと思います。
駅には交流館もできたし、素敵な店も増えてきました。美しい自然や交通の便などせっかく恵まれた環境にあるのだから、暮らしを豊かにできる店やイベントで街が盛り上がるといいですよね。
さくら市はまさに、これからの街。そのためにも僕がいいモデルケースとして成功して、可能性や魅力がある街なんだって、店を持ちたい人や住みたい人に思ってもらいたいです。「なんてったって、さくら市には『GOE』があるからね」って、言われるようにね(笑)。