株式会社さいた 代表取締役
矢板市末広町19-4 ココマチ1階
TEL:0287-47-6800
https://saitasaita.jp
栃木県北部に位置する矢板市。レンゲツツジの群生地「八方ヶ原」をはじめ、矢板市北部に広がる高原山の大自然、そして市街地にはノスタルジックな風景を残すこの街の魅力を、さまざまなかたちで伝えようとしている女性がいます。その人こそ「株式会社さいた」の代表を務める熊田さん。真っすぐな瞳のその先には、熊田さんが思い描く、この街の眩い未来地図がありました。(※上の画像は長峰公園で「さいた」スタッフと休息のひととき。)
「何もない!」が矢板市の魅力
矢板市に転居して、9年が経ちました。出身は茨城県結城市ですが、進学先も就職先も栃木県でしたから、もうすっかり栃木県民ですね(笑)。 結婚後は宇都宮市でシステムやデザインの仕事をしていましたが、息子を妊娠したことがきっかけで独立を決意。夫の地元であるここ矢板市での暮らしがはじまりました。
「何もない!」 今ではとても考えられませんが、この一言がこの街の第一印象でした。しかし、実際に住んでみると八方ヶ原やおしらじの滝など、観光スポットも、おしゃれでおいしいお店も、家族で遊べるところも、存在していることに気づきはじめました。こんなに自然豊かな場所で、大好きなウェブの仕事ができるなんて、本当に幸せだなと思いました。
ただ当時は、企業も店も観光地もウェブサイトをもっているところが少なく、その情報が見つけづらい……。そこで、地元で暮らしている人はもちろん、この街に何らかの目的でやってくる人たちのために、私ができることは何かを考え、矢板に転居して半年後、「やいたさいた」という地域情報サイトを立ち上げました。この街を大切にしたいなぁという思いから、こう名付けました。
この街は、決して何もないわけではなかったのです。こうして、ほかの街で生まれ育ち、この街に移り住んだからこそ感じられた、私の「第三者」としての視点で、サイトの運営をスタートさせました。これをきっかけに、徐々に地元の人たちとの新たな出会いと交流がうまれ、今に至っています。現在は、ネット上に多くの市内情報が存在するようになり、「やいたさいた」は、かたちを変え、矢板で暮らす「ブログサイト」として存在しています。
「ココマチ」は大人から子どもまで居心地のいい場所
現在、私がオフィスを構える「ココマチ」は「街なかの人と人とのつながり」をコンセプトとした、街全体の活性化を推進する総合施設と同時に、起業家を支援する創業支援施設でもあります。この施設のオーナーさんとは、仕事の縁で知り合い、ここに事務所を構えることになりました。
「ココマチ」の2階には北関東最大級のボールプール広場、1階には飲食店、高齢者向けのサロンなどがあり、お子様からお年寄りまで、気軽に利用されています。放課後や休日となれば、フリースペースに学生さんたちがやってきて、一気ににぎわいます。これだけ幅広い世代の住民が集まって、それぞれに楽しく利用しているケースは、この街ならではなのかもしれません。
こんなアットホームな地域性も矢板の魅力。人々がとってもあたたかいんです。ひとつの家族のように自然と集まって、自宅にいるような感覚で過ごせるのって、やっぱりほっとしますよね。
気がつけば、地元の企業さんや特産であるリンゴ農家の方たちなど多くの方々に支えてもらいながら、矢板の暮らしに馴染み、溶け込むことができました。私がこの街にやってきたのは、偶然ではなく、何かに引き寄せられたのかもしれません。
わくわくと楽しみのある街へ
「わたしたちがわくわくしなくて、訪れる人たちをどうやってわくわくさせることができる? 私たちが楽しまなくて、どうして人々を楽しませることができる?」 これは私が地元観光のPR誌に書かせてもらった一文です。地元矢板の方々に楽しんで観光活性化に取り組んでいただけたら、という思いでした。
「何もない」という第一印象からはじまった矢板での暮らしですが、それは私が「気づく」ことができなかっただけ。私のような人は他にもいる。もしかしたら矢板市にずっと住んでいる人たちこそ、地元の魅力を知らないのでは?とも思っています。
じつは、「リンゴ嫌い」だった私が、リンゴ園で採りたてをいただいたとき、今まで食べてきたリンゴは何だったの?と、思うほどおいしくて!リンゴのおいしさを知ることができたのも、この街に出会えたからこその出来事でした。この街で生まれ育ち、これまでずっと暮らしてきた人にわくわくを。いつの日か、この街を訪れる人にもわくわくを。私は、これからもこの街での暮らしを楽しみながら、自分らしく矢板の魅力を発信していきたいと思います。