檜山 桂子さん
日常の身近な雑貨のひとつとして「ひょうたん」を楽しんでもらえるよう、さまざまなひょうたん雑貨を制作。宇都宮市大谷町の「ROCKSIDE MARKET」や県内のイベントなどで、作品販売やワークショップを開催している。
https://www.facebook.com/plus.K.since2015
作品を通じて届けたい、日常の“ほっこり時間”
畑から始まる作品づくり
目が合った瞬間、思わず微笑んでしまう「plus K」さんこと檜山桂子さんのつくる、ひょうたん雑貨。ゆるやかなその独特のフォルムは、まさに千差万別。檜山さんは自然が生み出した、この愛嬌たっぷりのひょうたんを使い、さまざまな雑貨やアクセサリーを制作しています。
檜山さんの作品づくりは、畑から始まります。知人から畑を借り、種からひょうたんを栽培。素材から加工に至るまでのすべての工程を一人で、しかもほぼ手作業で行うそうです。
「もともと自給自足の暮らしに憧れていたんです。ひょうたんも無農薬で育てたくて、試行錯誤しながら、なんとか栽培できている状態です。まずはものがないと始まらないので、農作業は必死です(笑)」
みんなが笑顔になることが私の願い
手間を惜しまず、たくさんの愛情を注ぎ育てたひょうたんは、作品づくりにおいて捨てるところがありません。くりぬいたかけらは、イヤリングやヘアゴムといったアクセサリーのパーツとして使用。無駄をださないことも、檜山さんの制作に対するこだわりでもあります。
「ひょうたんが好きすぎて、かけらすらも愛おしいと思ってしまうんです。みんなそれぞれに個性があって、色も形も同じものがないということが、私たち人間にも通じるような気がして」
一つ一つに模様付けをすると表情が生まれ、さらに魅力が増していくひょうたん雑貨。作品づくり当初から継続してつくり続けているもののなかには、かすかに笑みを浮かべた「スマイルシリーズ」と名付けた人気の作品があります。「『スマイルシリーズ』は、自分自身が辛い時期につくり始めたものなんです。いつか私も笑えるようにって…。その願いが叶って笑顔を取り戻した今、次はこの作品に出会ったみなさんが笑顔になってくれたらいいなって思っています。
動くわけでも、話をするわけでもなく、ただほほ笑んで、そこにあるだけの作品だけれど、頑張るみんなの応援団になりたくてつくり続けているんです。その思いが自然と作品にあらわれたのか、最近の『スマイルシリーズ』は、初期のころよりも口が大きく、口角が上がったニッコリ顔に(笑)」
ほっこりした表情が、忙しない日常のなかに一瞬の心の安らぎをもたらしてくれる。檜山さんのつくる「スマイルシリーズ」は、そんな不思議な魅力を持っています。
忙しい人こそ自分を大切にできる、自分のための時間を
自らの創作活動のかたわら、ときには講師としても活躍する檜山さん。中学生の子をもつ保護者向けのワークショップを行ったとき、生き生きと作品づくりをする方たちを見て、こんな気づきがあったといいます。
「私自身もそうなんですけれど、子育てや家事、仕事など日々の生活に追われ、自分のために何かをする時間を持てない大人が多いように感じました。モノづくりは想像力を育み、心を豊かにしてくれるもの。いつの日か、忙しい人でも気軽に立ち寄れて、心から楽しいと思える時間や、自分のことを大切にできる時間を持てる場所を、私の好きなひょうたん雑貨づくりを通してつくることができたら最高ですね」
「スマイルシリーズ」によく似た、あたたかな笑みを浮かべながら、檜山さんはそんなすてきな夢を話してくれました。