三重県に生まれる。同志社大学で環境学を学び、卒業後、研修を経て有機農業で独立。現在は壬生で年間約70種類の野菜を栽培する。農薬・化学肥料を一切使わずに有機肥料のみで野菜を育てるために、日々、虫や雑草と奮闘している。
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あけましておめでとうございます!みなさん、どのように新年を迎えられましたか?
我が家は12月28日頃に次女が胃腸炎にかかり、その後、それが順番にきょうだいにうつり、大晦日、元旦は妻と私にもうつり、なんとも思い出に残りそうな年越しになりました。こんな私ですが今年もよろしくお願いいたします!
有機野菜とはなに?
前回、「有機農法とは?」というお話を書きました。今回は、安全・安心の野菜の選び方について書きたいと思うのですが、まずは有機野菜とは?という説明をしたいと思います。「有機農法で栽培された野菜が有機野菜ではないの?」と思うのが普通だと思います。しかし、それは少し違うのです。では有機野菜とはなんなのか?
結論から言うと、有機野菜とは「有機JAS規格の定める条件を満たした野菜」です。有機JAS規格とは農林水産省の定めた規格であり、それを登録認証機関が検査し、その結果、認証されて初めて有機野菜になるわけです。
もしも、仮にスーパーや直売所などで認証を取得しないまま「有機野菜」と表示して販売してしまうと、JAS法と呼ばれる法律に違反してしまいます。「無農薬」という言葉も同様です。そのため農業研修中には、認証を受けずに「有機野菜」や「無農薬野菜」と表示することは、絶対にやってはいけないという指導を受けました。
有機野菜の見分け方
では、有機野菜はどのように見分けるのかというと、有機JASマークが添付されているかどうかです。有機JASマークがついた野菜であれば有機野菜です。マークや有機規格の詳細については農水省のホームページを見ていただければと思います。
農林水産省では有機JASマークがついた野菜を以下の方法で生産された「有機農産物」と定めています。
- たい肥等で土作りを行い、種まき又は植え付けの前2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用しない。
- 土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させる。
- 農業生産に由来する環境への負荷をできる限り軽減。
- 遺伝子組み換え技術を使用しない。
このマークのある農産物が「有機野菜」、「無農薬野菜」、「オーガニック野菜」などを表示することができます。
わからないまま販売している人もいる
そもそもこのような制度ができた理由として、昔、有機野菜が注目されはじめた頃に、有機野菜がどんなものかよくわからないまま育てて販売していた人が増え、どれが本当の有機野菜なのかがわからない状態になって混乱したということがあるようです。
実際、自分が有機農業を始めた時にも、近所の農家さんに「有機農業をやっているって聞いたけど、化学肥料は使わないで、農薬や除草剤は使うんだよね?」とか、「無農薬でやっているって聞いたけど、化学肥料は使うんでしょ?」という質問を数回受けました。同じ農業者にも有機農業というものは認知されていないものかと驚きました。
それと同時に、たしかにこのような状況であれば、正しい知識がないまま実践して販売してしまう人がいてもおかしくないと感じました。
表示を確認しよう!
皆様はいかがでしたでしょうか?有機JASというものの存在をご存知でしたか?今回、お伝えしたかったのは、有機JASという制度があることです。
有機JASマークを添付せずに「有機野菜」や「無農薬」と書いてある野菜が販売されていることを見たことがありますので、皆さんも見かけたときはうかつに買わずに、一度確認してみるようにしてくださいね。