tokō(田野克明さん 千恵さん)
この地に店を構え49年。宇都宮市東町にある「tokō」。そこではカフェでも定食屋でもなく、かといってダイニングバーでもない少し不思議な食事処。「ただいま」と思わず言ってしまいそうな、アットホームな雰囲気をもつ田野さんご夫婦のお店です。今回はおふたりにこの街の魅力についてうかがいました。
父の代から続く店をリニューアル
千恵さん もともとは、昭和44年に私の両親が中華料理店をこの場所で始めたんです。その後居酒屋となり、父が他界してからは私が後を継ぎました。店も古くなり、正直店じまいすることを考えた時期もありましたが、もしこの店がなくなってしまったら、今まで支えてくれたお客さんに何にも恩返しできなくなってしまうと思って。心機一転、5年前にリニューアルしたんです。その後、料理人である主人と出会い、より一層これからも大好きなこの街でお店を継いでいく意志が固まりました。
克明さん 僕自身も長い歴史のあるこの店をなくしたくなくて。義父母、そして妻がこの場所で築きあげてきた、お客さんから愛され続けるこの店を二人で守っていきたいと思いました。
横のつながりを築ける場所に
克明さん 僕の考える「店」とは、ただおいしいものを提供するだけでなく、地域のコミュニティをつくる場でもあると思うんです。特にここは昔から住んでいる人と新しく越してきた人が混在する住宅地。だからこそお互いが心を開き合い「横のつながり」を築けるような、そんな場として貢献できるといいなと思っているんです。
千恵さん この辺りは工場や酒屋さん、理容院さんなど、2代目衆が多いんですよ。他所から来た主人が、そういった皆さんとのつながりを大切にしてくれることで、以前より密な近所づきあいができるようになりましたね。気づいたら皆さんに対して「何かあったら言ってください」っていう一言が、主人の口癖になっていました(笑)。
克明さん 僕たちの仕事は料理を作り、ここで食べてもらうことだから、店は一般の家より広いし、常にたくさんの食材があるわけですよ。だから何かあったときは、それを提供することもできるし、避難場所として活用してもらえる。閉店後に店先の外灯をつけたままにしているのは、地域の人に有事の際にはいつでも、この扉を開けてくれればなんとかなるって、そう安心してもらえる存在でありたいからなんです。
心から大好きな街
千恵さん 店の休憩時間には、二人で近くのゴルフの打ちっぱなしに行ったり、近くのせせらぎ通りを散歩したり…。車で通り過ぎてしまうと大型店と住宅とアスファルトのイメージですが、歩いてみると生活に必要なお店やお気に入りの店もたくさんみつかるし、四季を感じられる癒しのスポットもいっぱい。
克明さん そして、なんといっても心地良い付き合いができる住人も大勢。ご近所同士、会ったら笑顔で挨拶!って、基本じゃないですか。こんな街中であってもこの地域は、それが浸透しているんです。そういったことも、この街の魅力だと思います。
千恵さん ここで生まれ育ってこうして幸せに暮らしている私にとっては、当たり前のことなのですが、やっぱりいい街なんですよね。
克明さん 僕としては、この街に出会ったことでジャンルにこだわらず、どんな年代の方でも気軽に入れる雰囲気やメニューを作っていくという、料理人である自分のスタンスを確立できた大切な場所。心から大好きな街です。
〒321-0985 栃木県宇都宮市東町316-5
4号線から「東署南」交差点を東へ進み、「足利銀行 今泉出張所」を左折(北へ)。 美容室Hipp’sさんの角を右折して、左側3軒目。
http://toko.kitchen/