大谷の魅力は大谷資料館だけじゃない!
大谷といえば大谷石(おおやいし)。わが家の塀や蔵も大谷石でできているし、栃木県に住んでいると何かと目にする機会が多いと思います。最近では大谷石を利用したインテリア、小物なども見かけるようになってきました。その産地でもある宇都宮市大谷町周辺を散策いたします。
大谷資料館は絶対に見るべし!
まず向かったのは大谷資料館。ここは何かと話題になっていますがとにかく行ったことがない方は一度行ってみるといいでしょう。
とにかく、写真を見たらわかると思うのですが、巨大な地下空間に圧倒されるし、非日常感がハンパないです。
そんな場所なので映画やドラマ、プロモーションビデオなどのロケ地になることが多いみたいです。CMでPerfumeが来ていたり、PVやMVだとTMネットワーク、東京事変、Do As Infinity、ドラマだと「勇者ヨシヒコシリーズ」、「昭和元禄落語心中」など、キリがないほど使われてます。
(もっとメジャーなものもたくさんあるのですが↑私が見たかったものをピックアップさせていただきました)
おしゃれなロックサイドマーケット
さて、資料館の隣には最近の大谷の代表的スポット、ロックサイドマーケットがあります。
建物の中は雑貨と食品の販売エリアがあり、大谷石を使ったコースター、鉢などの他にも、県内の作家さんたちのさまざまな雑貨がたくさん販売されていました。食品ではおいしいガレットやジェラートなどが販売されています。
この日は、とても寒いなかバイクで来たので温かいコーヒーとガレットをいただきます。ふあー、あたたまります。生き返った!ソテーしたキノコを包んだガレットはヘルシーで美味しいです。
大谷寺の千手観音の言い伝え
さて、ここから少し走ったところに大谷寺(おおやじ)がありますが、行ってみると、残念なことに新型コロナウイルスの影響で閉まっていました。
ここ大谷寺には日本最古の石仏といわれる大谷観音があります。なんと大谷観音を作ったのはあの弘法大師。「弘法は筆を選ばず」とか「弘法も筆の誤り」などのことわざで知られる人です。
昔、ここには大蛇が住んでいてその大蛇が毒水をたれ流していました。その水に触れると生き物は死んでしまい木々は枯れてしまいました。その話を聞いた旅の途中の弘法大師は問題を解決するために大蛇の住む谷に入って行きました。10日余りが過ぎると谷から弘法大師が降りてきて大蛇を退治したと大谷の人たちに伝えます。人々が谷を見に行くと、そこには岩山に掘られた千手観音があったそうです。そこにできたのがこの大谷寺です。
今回は門しか見ることができませんでしたが、またの機会に見学したいと思います。その近くに大谷景観公園があります。そこに立ちはだかる大きな岩肌は迫力があります。
昼間は見晴らしもよいですが、夜はちょっと怖そうですね。ここからすぐ近くの平和観音を見に行きます。
駐車場から歩いて行く途中にカッコ良いベーカリー&カフェを見つけましたが、さすがに立て続けにカフェに行く気にはなれなかったので外観のみパチリ。
平和観音を見上げる
平和観音は、大東亜戦争の戦没者を追悼するために昭和23年から6年間かけて作られました。像高は26.93メートル。驚いたことにすべて手彫りです。
横には階段があって平和観音の目線で景観を見ることもできます。今日は見晴らしがいいですね。
平和観音のある公園には面白い石がたくさんあります。平和観音のある公園には面白い石がたくさんあります。カエル石、天狗の投げ石、真っ二つに割れた石など。崖の上にある石もあるので現地で探してみてください。ちなみにこれは真っ二つに割れた石。
私はSNSの類はやっていないのでピンとこなかったのですが、大谷エリアは俗に言う「映える」スポットが多いのかと。きっと週末にはナウなヤングがバッチグーな写真を撮っているのでしょう。
多気山山頂を目指す
そこから多気山不動尊(たげそんふどうそん)へ向かいます。多気山の入り口の門をくぐり、登り坂を行くと市営の多気山駐車場を発見。とりあえずバイクを停めて散策すると茶屋は休み。標識を発見。多気山山頂↑と多気山不動尊→の札が。目的地は多気山不動尊ですが、多気山山頂は多気山城跡となっています。これはちょっと行ってみたいと思い、山頂を目指します。
少し登り始めたところで、どのくらいの距離があるのかなと疑問を抱きましたが、登るなら早いほうがいい、きっと登れるさ!と軽い気持ちでスタートしました。
けっこうキツイ。けど、山頂の景色は◎
登っていると<山頂まで20メートル>の看板が見えます。最初、私は思いました。「余裕じゃないか!大股で歩いたら2、30歩じゃないか」と。
曲がりくねった道をテクテクと歩いて行くとだんだん疑問が湧いてきます。「あれ?もう20メートル過ぎてない?」歩けども歩けども、まったく山頂は見えてきません。斜面は急ですし、道はうねりまくっていますし。徐々に私は動悸、息切れ、めまいの三冠王状態、「救心」を今すぐに飲まないとたいへんなことになるのではないかという不安でいっぱいに。
おまけにバイクでの移動を見越して、とても厚着をしているから汗も出てきました。こんな状態を誰か人に見られたら「大丈夫ですか?」「救急車呼びましょうか?」なんてことになりかねません。
幸いなことにまわりに人影はまったくなく、私は自分を鼓舞するために「もう少しだ」「絶景が見れるはずだ」と独り言を言って、登っていきました。しかし、徐々に「何が20メートルだよ、バカヤロー」とか「山頂に何もなかったら恨んでやる」とか語気も呼吸は荒々しくなっていきます。
木々が開けてきて山頂の気配がする頃にはもう、気力だけで登っている感じです。「(ゼェゼェ)もうちょっとだ、なぜ登ろうとしたんだ。オレのバカ!」と言いながらついに山頂に到着しました。つい、やったー! と大きな声が出てしまいました。山頂には3組(6人くらい)の人がおり、ヤバい奴が来たと思ったのか、いっせいに私を見ました。
きっと、ぶつぶつ独り言言いながらゼーハーゼーハーしているやつが近づいてる来るなぁーと、思っていたのでしょう。私は気まずくなり、景色も観ないで反対側の古賀志山や日光連山の見える方へ移動しました。ここでようやく山頂へ着いた達成感を味わうことができました。
呼吸を整え、展望スペースへ。大谷町や宇都宮が一望に見渡せる素晴らしい景色。命をかけて登った甲斐があったと満足感に浸っていると、はるかに私より年上であろう老夫婦が平然と山頂に上がってきました。私は普段の怠惰な生活を反省しながら下山することに。山を降りるのは楽だろうと思っていたら、足を滑らせたら転がってしまうような急斜面。気をつけて降りていきます。
多気山不動尊でパワーを充電
ようやく着いた多気山不動尊。この寺院は、弘仁13年(822年)に日光開山の祖、勝道上人の弟子である尊鎮法師により創建されました。当初は馬頭観音を御本尊としていたようですが、宇都宮9代城主の藤原公綱公により、不動明王が御本尊となりました。字のごとく、よい気で満たされた神聖な場所のような気がします。お参りしているうちに、気持ちも落ち着いてきました。
階段を降りると湧水があったので、のどをうるおし、なんとか体も一息つくことができました。ふと見ると立派な鐘があります。そこには「鐘は静かにつきましょう」と書いてあります。では早速、鳴らしてみましょう。
軽くついてみると……。ゴーン!!!
なっ! なぜ??もうレバノンにまで聞こえそうな轟音が響き渡り、またしても周りの人たちの視線が私に突き刺さります。皆さん、もし鐘をつく場合はほんの小さな力でつくことをおすすめします!あまりの音の大きさに慌てて、逃げるように下山した私ですが、もう一つショッキングな出来事が待ち受けていました。
駐車場があったのです。多気山不動尊のすぐ近くに……。もちろん無料でした。初詣の時期はこちらの駐車場には停められない可能性も高いですが、ふだんは近くの駐車場に停められると思います。まあ、山頂まで歩かなければ、駐車場からの道のりは何でもないと思いますが、今回の私は精神的ダメージは大きかったです。
「大谷石コッパ焼き」の焼きいも
もう体力もなくなってきたので帰路に着くことに。途中気になる看板を見つけました。
Uターンして「ファームおのぐち」にお邪魔します。すると店員さんが焼きいもの試食を進めてくれました。紅あずまという品種でホクホクで甘い。これは買って帰ろうと思うと、もう一つしっとり系の紅はるかって品種もあるそうです。こちらも食べてみるとめちゃくちゃ甘い。
これはどちらも甲乙つけがたい。両方買って行きます。ちなみに「大谷石コッパ焼き」というのは大谷石の小さなかけらで焼いた、焼きいもなのだそうです。
大谷石の活用法は無限ですね。夏にはとうもろこしが買えるそうです。こちらも楽しみですね。
彩花のキング餃子は絶品
最後に、ここからバイクで5分ほど走り、以前宇都宮餃子会の撮影でお邪魔したことがあるお店、彩花(さいか)で腹ごしらえを。ここではキング餃子をいただきます!以前、撮影で1日に何軒もの餃子を撮影、試食させていただきました。その時に異彩を放っていたのがこの彩花さんの餃子です。その秘密は八角が入ったあんにあります。
餃子は3個と5個を選べますが餃子を食べにきたのですからもちろん5個をオーダー。一緒に評判のチャーシュー麺も頼みます。このチャーシュ麺と餃子には、もち豚が使われているそうです。
チャーシュー麺は初めて食べましたが、どんぶりからあふれるほど大きいチャーシューが乗っています。食べてみるとチャーシューはもちろんですが手もみ麺ももちもちで美味しい。
餃子は出てきた時に3個にしておけば良かったと思うほどの大きさ。こんなに大きかったのかと驚きました。食べてみると八角の香りがして、見た目のボリュームの割に軽く食べられます。
せっかく多気山を登って消費したカロリーも、芋とラーメン、餃子で帳消しになってしまった気がしますが、疲れた心と体を満たしてくれたので大満足。ぜひ味わってみてください。
1975年、栃木県大田原市で生まれる。中学生の時に親にカメラを買ってもらい、うまく撮れないことが悔しくて写真を撮り続ける。次第にカメラと写真の魅力に取り憑かれる。高校生になって憧れの写真部に入る。大会などにも参加して部長の地位を獲得。この頃には運動も勉強もできない私が進む道はカメラマンしかないと思い込む。高校を卒業し上京、東京ビジュアルアーツ写真学科へ。2年後、ギリギリの成績で卒業。その後、栃木県に帰り、印刷会社や写真スタジオのカメラマンを経て、2012年にフリーランスに。雑誌、企業広告、建築物、料理、商品撮影など、たくさんの人に支えていただき、今日もどこかで撮影中。