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「あおぞら珈琲」の物語を紹介。ノスタルジックな南宇都宮駅の周辺も

「あおぞら珈琲」の物語を紹介。ノスタルジックな南宇都宮駅の周辺も
深井 大さん

山形県酒田市出身。就職を機に、宇都宮市に移住。2015年2月に、自家焙煎アフリカ豆専門店「あおぞら珈琲」をオープン。地域に根差した普段使いのコーヒーショップとして“キープコンセプト”を目指しつづ、新たな展開にも力を入れている。
https://www.facebook.com/aozoracoffee

50万人都市である宇都宮市のなかでも、閑静な住宅地が広がる吉野周辺は、南宇都宮駅を中心とした穏やかな街並みが魅力です。駅から放射線状に延びた街路の先にある文化施設や、新川桜並木など、豊かな暮らしの土台となる環境もまた、高い人気を誇る理由のひとつでしょう。今回は、この街並みに惹かれ、富士見通りで小さなコーヒーショップを始めた「あおぞら珈琲」店主の深井大さんに、この街への思いを伺いました。

街に馴染むコーヒーショップを目指して

宇都宮で暮らし始めて、早20年。この街に店を構えて、ちょうど5年が経ちました。初対面の人にも「地元の方ですか?」と聞かれるぐらい、この街に馴染んできたかなと、感じられるようになりました。僕もこの店も、この街に溶け込んでいくことが店を始めた時からの目標だったので、その一言はちょっと嬉しかったですね。

住民が気軽に立ち寄れる街のコーヒーショップ。

好きなことで生計を立てたい

僕は山形県酒田市出身。宇都宮にやってきたのは、就職がきっかけでした。いつか好きな仕事で独立をしたいと、仕事に打ち込んでいたのですが、時代の流れを考えると、望んでいた業種では難しいと判断したんです。それなら、とりあえず自分が興味のあることを一通りやってみようと、時間の許す限り、いろいろな経験をしてみました。そのひとつが「珈琲」だったんですね。

「好きなことで生計を立てたい」という思いはあるものの、何を選んだらよいのか迷っていたときも、「珈琲」はいつも身近な存在でした。今にして思えば、なぜ珈琲を選んだのかよくわからないですけれど(笑)。

でも独立するには、焙煎から経営まできちんと学ばなければならないと思い、当時、住んでいたJR宇都宮駅の東エリアにあるコーヒーショップに転職。地元で暮らす両親には、反対はされましたが、今ではすっかりこの街で小さなコーヒーショップを営む僕のことを、応援してくれています。

「あおぞら珈琲」のプレート。他業種で活躍する仲間のスイーツやコースターなども。

宇都宮がちょうどいい!

独立するにあたり、山形に戻るという選択はありませんでした。かといって都内に進出するつもりもありませんでした。僕ね、宇都宮って超いいと思うんですよ(笑)。まず、暮らすのに不便がない。お店もほどよくあって、交通の便もいい。都会過ぎず、田舎過ぎず……、ちょうどいい環境が宇都宮全体の魅力じゃないかなと思います。

東武鉄道宇都宮線南宇都宮駅。「甲子園駅」をモチーフにした駅舎は昭和7年開設。

よい立地、よい物件に出会った

宇都宮で店を出すことを決め、さっそく物件探しをスタート。ちょうど古民家ブームということもあって、僕自身も落ち着いた雰囲気の場所を希望していました。市内もいろいろと見て歩きましたが、たまたまこの物件が空いてるということで、見にきたんです。“大通りから一本入って二車線の通り”という理想通りの好立地。周辺には古くて趣のある南宇都宮駅や大谷石倉庫群、文化会館、明保野公園などがあり、おだやかな街の空気感もいい。

しかも、ちょうど西日がきれいな時間帯で、光にパーッと照らされたこの建物が、とにかく神々しかったんですね。「もうここしかない!」と、勝手に神様に導かれたと解釈し、この物件に決めてしまいました(笑)。

店はできる限り自分たちでDIYし、改装を重ね、今の形態に。テイクアウトがしやすいよう小窓をつけたり、気軽に立ち寄れるようテラスを設けたりしました。

街並みに溶け込む「あおぞら珈琲」。自家焙煎アフリカ豆専門店は県内でも珍しい。

アイ・ラブ・地元!

実際に営業を始めて気づいたことなんですけれど、この場所には立地のよさだけではない“地元密着”というプラスの要素がありました。住民の皆さんの多くは「アイ・ラブ・地元」なんです。僕が目指すコーヒーショップは、街に馴染む店。老若男女、誰もが気軽に入ってこられて、「通りかかったから珈琲を飲む」ぐらいの店でありたかった。この街の風景や、住民の皆さんの生活の一部であってほしいと願う僕にとって、この街並みとの出会いはかけがえのないものとなりました。

宇都宮市文化会館や 明保野公園は散歩にもぴったり。心癒される憩いのスポット

南宇都宮の魅力を知ってほしい

店には、僕がいいなと思っている南宇都宮近辺の店のショップカードを貼っています。僕の店に来てくれたお客さんには、珈琲を片手に街歩きをしてもらい、この街の魅力にふれてもらえたらと思っています。

うちは小さな店ですけれど、若いお客さんと近所のおじいちゃんで話が盛り上がったりして、コミュニティスペースのようになっています。僕が県外出身というと、皆さん親切にいろいろと街のことを教えてくれて、僕はそれをあたかも自分の知識としてまたほかの人にひけらかすという…(笑)。おかげさまで街の歴史から近くの高校の偏差値まで、やけに詳しくなりましたよ。

これからは、僕の第二の生き方を叶えてくれたこの街で、ゆっくりとこの店とともに、日々の暮らしを楽しんでいけたらと思います。

カフェやギャラリー、コミュニティスペースとして利用されている南宇都宮石蔵倉庫群。
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