三重県に生まれる。同志社大学で環境学を学び、卒業後、研修を経て有機農業で独立。現在は壬生で年間約70種類の野菜を栽培する。農薬・化学肥料を一切使わずに有機肥料のみで野菜を育てるために、日々、虫や雑草と奮闘している。
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変わらない日常
みなさんいかがお過ごしでしょうか。 新型コロナウイルス感染症対策の影響で外出が自粛になり、我慢の日々を過ごされていることと思います。畑でひとり、土と戯れる仕事をしている私は、相も変わらず畑を耕し、種を撒いたり、苗を植えたりと、いつもと変わらぬ日々を過ごしています。
子どもたちはずっと学校にも幼稚園にも行けないことに不満を漏らしてはいますが、幸い兄弟が4人いるので仲良く遊んだり、時にはケンカしてストレスを発散したりととくに変わった様子もなく元気に過ごしています。
すべての野菜に品種がある
さて、今回は野菜の品種についてお話してみようと思います。それぞれどの野菜にも品種があるということはご存じでしょうか?
たとえば、じゃがいもだと、「男爵(だんしゃく)」「キタアカリ」「メークイン」などが有名どころです。トマトだと「桃太郎」なんかも有名ですし、栃木県にお住まいの方ならば、イチゴの品種には、「とちおとめ」や「スカイベリー」、梨の品種には、「幸水」「豊水」「にっこり」などがあるということはよくご存知かと思います。同じように人参、大根、小松菜、ほうれん草など、すべての野菜に品種があります。
なぜ、そんなに品種がある?
そもそも野菜の種は、基本的に種苗会社が販売していて、さまざまな品種改良をして、さまざまな品種が生まれています。種屋さんに行くと(種屋さんが存在することを知らない方も多いと思いますが)、たくさんの種苗会社のカタログがもらえます。
そのカタログを開くと白い普通の大根だけでも10種類以上あったりします。おそらくでき上がった大根を見比べても違いはわからないと思います。では、なぜそんなに種類があるのでしょうか?
まず一つは栽培に最適な時期が違います。寒さに強いものや暑さに強いものがあり、春まきと秋まきなどで用途が分かれています。次に、病気に強い品種があります。
○○病に耐性がある、△△病に耐性があるなど、無農薬や減農薬でも、育てやすいような品種です。さらには成長速度が揃っているものや、葉物野菜で野菜が立ちやすい品種なんていうものあります。これらは主に市場やJAなどで出荷する人向けで、栽培計画の立てやすさや、収穫や袋詰めのしやすさに特化した品種です。
完璧な品種はない
このように、品種改良を重ねてたくさんの品種を生み出している種苗会社さんの努力には頭が下がります。ただ一つ言えることは、完璧な品種はないということです。あちらを立てればこちらが立たず、というような感じですべてに適応した品種はありません。だからこそ農家は品種を選びがいがあります。それに種のカタログを見る時間は少し楽しかったりもします。野菜の品種の名前もおもしろいものがあったりもします。次回はその品種選びについて少しご紹介したいと思います。