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太陽熱は有機農法にとって大事な除草剤!

掲載日: くらし人
太陽熱は有機農法にとって大事な除草剤!
太陽熱消毒中。測ったことはありませんが熱いと60度以上にもなるそうです。
伊藤 博人

三重県に生まれる。同志社大学で環境学を学び、卒業後、研修を経て有機農業で独立。現在は壬生で年間約70種類の野菜を栽培する。農薬・化学肥料を一切使わずに有機肥料のみで野菜を育てるために、日々、虫や雑草と奮闘している。
https://www.utatanefarm.com/

今年の夏は暑かった!

ようやく朝晩は過ごしやすくなってきましたね。今年は8月に入ってやっと梅雨が明けたと思ったら、暑い暑い夏が始まりました。例年だとお盆が明けると徐々に涼しくなるのを感じますが、今年はまったくそんなこともなく、暑い日ばかりでクラクラしながらなんとか頑張っていました。

ですが、子どもたちは元気いっぱい。夏休み中は毎日プールで遊び、新学期が始まってからも元気に登校・登園をしています。小さな体のどこにそんなエネルギーがつまっているのか本当に不思議です。

太陽熱で雑草の種を死滅させる!

そんな暑い夏ですが、じつは有機農家にとっては非常に大事なものです。それは太陽熱消毒という手法を用いているからです。透明マルチ、というビニール資材を畑の土にかけて密閉し、太陽熱をガンガン取り込みます。そうするとビニール内の温度はとても高温になり、それによって雑草の種を死滅させるのです。そして、ビニールを剥がした後に、ニンジンやタマネギの種をまきます。

何もしないと雑草は次から次へと生えてくるので、種まきからある程度大きくなるまで時間のかかるニンジンやタマネギはすぐに雑草に飲み込まれてしまいます。ですがこの処理を行うことによってまったく!といっていいほど雑草は生えなくなります。こうして除草剤を使用せずとも雑草を封じ込めるために、夏の暑い日差しはとても必要なものなのです。

ちなみに熱処理をする期間ですが、天候によるのでなんともいえないのですが、2週間程度はほしいところです。

ミニトマトミックス。普通のものに加えて、黄色、オレンジ、ピンクなどがあります。

土を掘り返して日照りで草を枯らす

それともうひとつ、方法があります。夏の間に秋冬に作付けをする畑の準備をしておくのですが、放っておくともちろん草が生えてきます。そこをトラクターで土の表面をかき混ぜて、日照りで草を枯らすのですが、雨が続いて曇り空が多くて土が湿っていたりすると、草はすぐにまた畑に根ついてしまって生き返ってしまいます。そうするとまた耕耘(こううん)のやり直しになるので、できるだけまとまった晴れ間があると助かります。

ニンジンの種まき後。少し見にくいかもしれませんが、筋状にニンジンの芽が出ているところは熱処理したので雑草が生えていませんが、真ん中の通路は草がでてきています。

今年は十分な日差しを確保!

数年前に、梅雨明け宣言したあとも曇り空がしばらく続いてなかなか気温も上がらないという年がありました。その年はマルチ内の温度を確保できないまま種まき時期が来てしまい、種をまいたら案の定、草が出てしまって草むしりに時間をとられてしまいました。今年は十分な日差しを確保して太陽熱消毒もでき、順調に畑の準備もできたのでとりあえず一安心です。

ですが、夏も終わると来るのは台風シーズンです。農家にとって一番ヒヤヒヤする時期ですが、台風が近づいてきてもほとんど祈ることしかできないのが辛いところです。

イタリアナス、ローザビアンカ。火を入れるととろけるような食感になっておいしいです。
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